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偽装献金問題で謝り、政権公約を修正して謝る。まったく一国の首相が次々と謝る軽さ。前々から鳩山首相の言葉の軽さは、マスコミでも指摘されてきた。70%台でスタートした支持率が、50%を割り込んだ。自民党の不甲斐なさに腹を立てた国民が選んだ民主党も、首相のリーダーシップのなさと献金問題など次々と引き起こされる混乱に見方を変えてきたようだ。自民党よりましだろうという気持ちから、自民党と変わらないのではないかと思い始めたのだ。

ところで平成22年度の一般会計予算が閣議決定した。首相は、命を守る予算とコンクリートから人へという理念を貫くことができたと自画自賛した。消費税は4年間引き上げないという考えを示した。普天間基地移転問題ではあたらしい移転先を5月までに決めると表明した。

年明けの国会では7兆2千億円の第2次補正予算を成立させた後、来年度予算の審議に入るものと思われる。そして年度内の成立を目指す。財政健全化と景気対策、普天間基地移設問題、主相の偽装献金問題など通常国会では野党が追及する材料に事欠かない。強行採決の連発になるのではないか。

来年度の予算から景気回復への兆しは感じられない。税収の大幅な落ち込みにもかかわらず、予算規模は過去最大だ。結局公約で強気の発言をしていたムダの削減はまったくできなかったのだ。そのことは、一般会計の歳出の内訳をみればすぐに分かることだ。削るところが少ない構造になっているのだ。なぜなら歳出の半分以上が社会保障費と国債費、すなわち借金の返済と利息の支払いなのだ。そのため借金である国債を発行して不足分にあてることになったが、その結果国債が税収を上回ってしまうのだ。この状態は戦後初めてのことだ。

このように財政はかなり深刻な状態なのに、税収を上げる手立て、すなわち景気回復の対策が見られないのだ。閣内にマクロ経済に詳しい人材がいないのは致命的だ。もっと専門家の意見を取り入れるべきだ。一方歳出は高齢化社会が進むにしたがって増えていくことは避けられない。それなのに消費税は4年間も上げないという。歳出は削るどころか増え続け、税収の増える見通しがなければ増税しかない。来年度は埋蔵金で歳入の不足を補うようだが、翌年からは期待できない。お先真っ暗とは日本の財政状態にぴったりの言葉だ。

今日の閣議で一般会計の総額は、92兆2,900億円と過去最大規模になった。社会保障費は27兆2,686億円と9.8%も増えて、一般歳出に占める割合は初めて51%と5割を超えた。文教・科学振興費は、5.2%増えた。公共事業費は18.3%と過去最大の下げ幅となった。ODA政府開発援助は、7.9%の減少、防衛費は米軍の再編にかかる費用が増えたため0.3%の増加となった。

地方交付税は、地方の厳しい財政事情を踏まえ、5.5%増えて。17兆4,777億円。国債の返済にあてる国債費は2%増えて、20兆6,491億円となった。社会保障費と国債費で全体の52%超えることになる。

一方歳入は、税収が37兆3,960億円と景気の悪化で、今年度の当初予算と比べて18.9%減少する見込みだ。これは1984年以来の低い水準だ。特別会計の積立金など、いわゆる埋蔵金の取り崩しといった税金以外の収入が、10兆6,002億円、歳入不足を補うための国債発行額は、44兆円以内を目標としていたが33.1%増えて44兆3,030億円となった。これにより歳入の48%を国債に依存することになり来年度末の国債発行残高は637兆円に達する見通しだ。国民一人当たりで計算すると約500万円にもなる。

政権公約 税金では暫定税率を廃止し約2兆5,000億円を減税するとしていたが、制度は廃止するが今の税率水準が維持されることになり、公約を守れなかった。

歳出では、子ども手当に1兆7,465億円が計上された。概算要求では、2兆3,000億円余だったが来年度は今ある児童手当の仕組みとあわせることで必要に費用の一部を事実上地方にも負担させることになった。高校の授業料の実質無料化には3,933億円が計上された。個別所得補償制度、は概算用K通り5,618億円が認められた。段階的に実施されるとされた高速道路の無料化には1,000億円。概算要求は6,000億円だったが、実験の対象路線を限定した。医師不足への対策では、およそ4,000億円の医療費が医師不足が深刻な救急医療への対応に当てられる。概算要求では4兆3,000億円余だったが財源が不足するため予算額は3兆1,000億円に減額された。

結局ばら撒き予算なのだ。それも財源が不足するためあちこち削ることばかりで、公約通り実現できたのは個別農家補償制度だけだ。とても国民生活に安心感は与えられる内容ではない。この国を戸のようにするのかといった理念がないためばら撒くしかないのだ。国民も国家戦略が分からないから評価の仕様がない。したがってとても消費には回らず節約につとめ、デフレが進んでいく。とても内需どころではない。

選挙中は無駄を削れば財源は充分確保でき、政権公約は実施できると自信たっぷりに強気の発言をしていた。現実は削るどころか予算総額は膨らみ、しかも国債が税収を上回って発行されるのだ。相変わらず財政再建策も景気対策も出てこない。このままでは先行きをまったく見通せない。対する与党になった自民党の影も薄くなったままだ。打開策はないのだろうか。

こんな状態のとき沖縄の普天間基地移設問題に解決のめどがまったく立たない。米政府は日米合意したものが唯一実現可能な案だと強気な姿勢を崩さない。ところが政府は県外・国外移転を目指すと地元に気期待を持たせる。しかし、具体案はまったく示されないままだ。

この問題では、連立間の調整が難しいところへ党内からも異論が出されている。沖縄県民も県外・国外移転に期待感を高めてきた。ところが名護市の市長選挙の結果を待つという。国の安全問題を地方選挙の結果で決めるのかと政府の甘い考えに強い批判がある。立候補を予定している原色の名護市長は、方針のない政府にあきれて選挙公約にあえて基地移転問題を入れないつもりだという。あれもこれも中途半端な政府の対応への苛立ちが内閣支持率に現れ始めてきた。